眼球を揺さぶるあなたの腕が醒める
そうして青褪めたそとのぼやけたよるが皮膚だ
ひっこぬかれた睫毛の かなしい感情が
もうぜんぶぜんぶあなたの匂いだ
死んだあなたの あの瞬きのひかる骨の匂いだ よるだ
血管をぎゅうぎゅうにしたのに
だれも救ってくれなかったあなたの骨の粉々だ
花ばなに棲み憑いたあのひとの
はちみつみたいなあまいにおいの
とかされたわたしたちの
あるべきほんとうの地獄だね
つぶされた脊骨のぎゅっとしたかんじが
舌ざわりにまどろむ悪意が
ざらざらのどのおくを流れるうつくしいわたしたちが
額を冷やしていたあなたの死にざまが
はやおくりの感かくで流れる
わたしたち吸いがらとミルクだったのに
どうかあなたは犀利なまま死んで
いわなくてごめんね あなたよるめいて花やか
唾液はあじなし お化けのまねごと
そのひびに棲み憑いて
惑わせるばかりの
恐ろしい砂糖をまぶしたじくじくの夜るのなかで
うつくしいおとこがひとり
わたしの骨を折らんばかりに怒鳴り上げながら
呆れるようなかた結びをする
ことばをふり撒くおとこの眼球
あなた識らないんでしょ
無様なわたしのおくのてを あなたみたこともない
脳髄にぎらぎらを撒かれた感かくがある
総てゆるして
みみのざらざらするようなこわね
低くひくく渦を巻くような
躰のおくのほうがたかいおとをたてて軋むような
ああ
ああ
懺悔して
ねえ懺悔してってば
のろいが蝶々結び