とろけたしろいふゆはかつて仄かに嘯いて
いずれ春をばら蒔く呪いになる
愛の暢気
薄に蜂蜜に蜀女の脊
黴の香い、花の匂い
花腐り春腐りひとりばら剪つ
あを丹よしまぼろしの奇なり
かたばみの色もなし崩し
秋春みづに倦む淡い
あなたは いません
あなたの愛が最も悪かったとき
わたしの美しさは路頭にばら撒かれていた
春のない密かな夜に
泥濘でくらやみが半身を引き摺って泳ぐ
春粧ひの骸骨のうつくしきが流れる
ちぢれてみたら つめたくこわれてみたら
これがおわりなら 甘いのに滲んだりしないなんて
あなたがきれいなまま 滴る別れを鵜呑みにしないまま
吸いつかれた瞼のふちの心中紛いの感情が
夜るの欠けたほね
こわれる
あなたがきれいで
嫌悪の兆しのかわいいおとがする
ひ膚を裂いて 花ばなの垂れる
そのあざやかな
こわれる
こわれる
すきのあぶく
視て晦め
とうめいのぬかるみ
あなたは厭らしんで死ぬ
地獄は斯う膿んで泥泥らし
春は昏く、あなたの脊はまつかつか