あなたは呪いを吐いてゐる





あるはずのない才能はえいえんにあるはずがないまま身を潜めて
それをみつけだすのはあたしの永久歯のどれかひとつが
臙脂色をしていることを証明するくらいむずかしいんだってば!

刺されたやまいのような夜る
ずゐまでばらばら
みつばちに刺されたみみが焦げついて
花と見紛う吸い殻を散らしてる
あなたは透きとおる春のしもべ
あなたはしんだよるの棘

淡いみずがふち
謎めいて齧りついてた
蜂の痕があった
しらない宗教があった
あなたが砕いた金縁の
ざらめのような甘さがあった
りりしい心中
めくるめく初夏の奴れい
おばけ莞爾
つめたい根腐れ すごくすき
あなたは脳天がすこしとんがって
すごく心地が悪い
すごく心地が悪い

あなたあたしの角っこのかなしみをみていったでしょ
めめしい惰性のかたまりだって
(奇しくも化身)いまにも死ねそう 讃えて
うつくしい憑かれ
それがすごくあざやかだ

呪われていたひびを 憶いだすすべがない
謎めいて逢えなくなっちゃった
おねんね上手の甘えべた
お腹のおくに骨ぼねがくっついて
よるになるとゆるやかに蠢くみたい

このまま
いっしょに呪われてくれる?

醒めた眼球が半回転しそうにもない
耳のうらがわがうずうずするような残酷さで
軋む神経が薄く引き伸ばされてゆくような
求めていたはずのえいえんを手にした瞬きにこうして
“不快なおれの総て”が額に翳をつくる

ここがどこだかしってる?
ぴんくいろの うそつきの地獄だよ
あなたはかみさまを噛んだから
いじわるなままわたしをぐちゃぐちゃに裂いたでしょ
うつくしいひとびとのみどりいろはたべられたよ
ぴりぴりとんがるよ

毒々のつて
あのひとが殺してくれない
ひとすじ 泥のような恐怖でころしてくれない