あぶないわ
酸っぱいの
幽霊のしわざだから

ばらを蒔いてねむれないわたしたち
憑かれたのにあまいふりできるの
あなたは黄金色にみたてたひとすぢ
幼く
つめたいひとにざくろをはじいて酸っぱい
野の花の発光
にどとしねないから
あなたはわるいきずのあと
もう黙って
あなたを何度も殺した
だから吊るされた恋いびとたちは
怪しいまひるに内臓をだらりとさせて
夜光虫を噛むしかない
あじさいの茎はどんなあじがする？

よるの名残りに
そうあざやかでもないふたりのままでいて

あなただけが淡ぶく
ちのいろ映ゆ
綴じられてゆり幽か
あまくただれた骸骨のあなた
蜂につままれて鳴けない
わるめいたうららかな頸すぢ
しんでしまうのすき？
ああわたしの感性が鈍いまま綴じられる
花柄の舌をひっこぬいて
まぼろしが倦んでいる
幽霊の角っこちぎってみた
またあまい夜ふけにでも
ひわとしらぬひ

色づく春いがさざめいていた
星月夜に居るはずもないわたしたちが
美しい犠牲についてかんがえている
“奇ばつな蘇り”

あなたがきゅっと絞めた頸のあとが
いまも淡いいろあいで混ざりあっているきがする

あなたと泥まみれのおとなしいよる
死体のあのひとの匂い
あくどい燕子花がほしいの
お砂糖めいたおぞましいかれが
かわいいぬいぐるみのそぶりをして
ちょこんと深夜枠に居すわってるでしょ
したたる蜜を鵜呑みにして
なつかしい暴力に惹かれる
癖っ毛がやさしいからじゃないのしってる

あなたは青めいてなにもない
あなたはまぶした星ぼしのひらたいところに似て
もっとわるくなる

さて
ちらばる野ばらです
あなたはゆめのような悪魔のまま
うつくしいほしを喰べる
奇妙にしたい