妙な感情のちく積と カップケーキみたいなひび





かわいいこいぬを檻からだして
かわいい獣も檻からだして

星ぼしの浸け
とびちるみるくのんで死んでる
睡りのあざが深い
春にぼやけるてくびのゆくえ
みみのねっこにゆるいのばな

拵えられたあじけない飼い犬
ばらの群がりにブルーの萌し
暴かれたつめたいひかりもの

うつくしい亡霊の話をして
わたしがしんだまばゆい朝の
あのうつくしい亡霊の話を

或る夜るのめまい
まるめろが甘やかでいて
わたしを泳がせて堪らなくさせて
裂かれる感かくにはうんざり

妙な感情のちく積と
カップケーキみたいなひび

めいしゃさんがわたしの眼球をつつくので
わたしは泡ぶくからてあしがはえた恋いびとをみる
怪奇現象の棘とげにやられる
あなたに轢き殺される

なんども
なんども
なんども

みなれないバカンスのおわりに
のぞまれないあなたの総てをのぞんでいた
あなたが肢体を青褪めさせるくたびれた諦めを
「夜だ」とおもっていた

“あなたはだんだんいなくなる”