しらないポーチュラカ





かわいそうなひとで

しぬのただみてる

謎なんていいご身分 / それから棘の呪文をわすれる
そんな奇妙な蛮行でおかねをもらいたい
花褪めてあなたはひとで / にどもはねない昆虫
撒き散らしてにがい / 背泳ぎでとろけておちる
ぼやけたねごとの謎をとく / 虫籠で飼ったりするよ
朧げに泳げやしない / 恐ろしきねんねちゃん

ああ這っている
甘い骨ぼねに酸い夜のためらい
その翳り

春い秘密 / 柑橘の夜る / あじなまぼろし
くらげが花柄に / 潜められた発光体 / 化すまで殺める
月に煙るのに戀はまやかし / かれの春いろの泥濘
で、よるのふたりは? / まぼろしのあなたは幽霊だった
星がだくだくしているの / わたしたちきらきらしたもの

奇っ怪なばらばらがそこらにあって
ひきはがしたみみから宝石がはえてきたよ
ディーディーってしっぽのなまえよ

眠っていたいだけなのにね / あまい嫌悪が毒のよう
いろが滲む / 刺繍のにおい / 昆虫採集の金縁
はぜて錆びて春? / とんがりちゃんへ / しねばよこしま
鰯か金魚一択だ / 金魚鉢にかどあった

蜂蜜の夜なかじゅう
わたしが粉々になってからすこし経ちますが

よれた惑星のわるぐち / 恐竜みたいにざらついて
つぐまれた沈んだ星よ / みだれ髪たべたら垂直だよ
あたしこんなにあざやかな眼球に耐えられない
ひそやかでもなく幽霊だから
すきともいえぬあさのまふゆです

あなたはかわいい
かわいいからうそだらけ
かわいいからうそだらけだ

しらないポーチュラカ