木いちごに春蜂





滿つれど春も然様なら
つつかれたほねに花づつみ

あなたの半身がほどかれてしまう
結びめをゆるめるわたしの髪からしたたる
微かなわるめいた感かくで
あなたは睡りをものにしてしまう

木いちごに春蜂
金木犀はいらない

あなたが産まれ堕ちてから
ずうっとすきでいたかったのに
わたし
うつくしい灰色になってしまった

淡いきがしたかもしれない
もう亡き骸の恋いかもしれない

ばら色の蔓の尖ったところで
幽霊はしずかに頸を絞める
その匂いでひだりの瞼は色づいて
割られたひとびとの怒号があざやかに混ざる

花やみにゐる
あやしがる癖に