かわいいこいぬを檻からだして
かわいい獣も檻からだして
星ぼしの浸け
とびちるみるくのんで死んでる
睡りのあざが深い
春にぼやけるてくびのゆくえ
みみのねっこにゆるいのばな
拵えられたあじけない飼い犬
ばらの群がりにブルーの萌し
暴かれたつめたいひかりもの
橙が透けてやわらかい恋いびと
怪しいことばの齧りかけ
星ぼしのぎらりが牡丹の匂い
灯台につめたい
盗まれたあまいをすこし
ね
そのまま死んでいたら好いわ
青にじらされた香ばしいめめしさ
ふみにじるよひのあてに
うつくしい亡霊の話をして
わたしがしんだまばゆい朝の
あのうつくしい亡霊の話を
或る夜るのめまい
まるめろが甘やかでいて
わたしを泳がせて堪らなくさせて
裂かれる感かくにはうんざり
夜吸い蜂の砂糖づけ
ゆめのあとできずぐちに呪うみたい
ただれた恋いびとたち
わたしはあなたの死後のつてになる
ふちどられたどこかの骨の彫りはくっきりと深いから
それがあなただときづいてしまった
にどねのほねの柔なくぼみに謎謎
くまちゃんたべちゃったの
みしんで轢いちゃったの
わたしはかたばみいろの浴室に歯をたてて
くびわをまいて
ノックのおとには気づかない
あなたがきずつくのずっとみたい
あなたがずうっときずついてみたい
檻がほしい
「うごかしてもいない骨のおとが神経にのびてくるきがするの」
あなたの香ばしい死にざま
春のない密かな嫌悪
あまったるくてべたべたにされる
ざらめとみつばち
からみつく乳白色からぬけだせない
ふやける瞼のどろどろに似ている
びねつがまぼろし
がんきゅうはゆるゆるになっちゃった
みみたぶはひきちぎられちゃった
おびやかされて姦しい
うねらないでも狂える?
ねそべる脳髄に花を植える
毒々しいのね
お砂糖漬けの浴室で怒鳴られちゃった
こなごなにないちゃった
恋いびとのほねをみにいって
媚びたら歯形ひとつくれる?
花だんでやけどしちゃった
滲んだらしんじゃえばいいよ
あなたのくらやみはすっぱい
もうにどと泳いでいかないで
化かされたよるのほねがくだけた
わたしよるにふやけたりしない
かわいいしらんぷりの男
おだやかに裂いたらね すきなのでてきちゃうよ
めいしゃさんがわたしの眼球をつつくので
わたしは泡ぶくからてあしがはえた恋いびとをみる
怪奇現象の棘とげにやられる
あなたに轢き殺される
なんども
なんども
なんども
みなれないバカンスのおわりに
のぞまれないあなたの総てをのぞんでいた
あなたが肢体を青褪めさせるくたびれた諦めを
「夜だ」とおもっていた
“あなたはだんだんいなくなる”
“お気の毒に”